1997年10月号(第26号)

 

司法書士と国際化

        所 長  辻   英 彦

司法書士という職業は、
日本と韓国・台湾にしか存在しない職業です(諸外国にも同様の職業はありますが、行っている業務内容は全く異なっています。)が、
日本固有の職業である司法書士にも国際化の波が直接かかわってくるようになりました。

かつては、日本人が海外勤務のため外国に住所を置いているために
所有者の住所証明書や印鑑証明書を領事館で取得してもらうなど、
単純な書面上の外国語に接する機会をもって、国際化と認識していた時代がありました。

しかし今日では、特に彦根周辺では多いのですが、
在外二世・三世などが相続登記の当事者となり、
これらの方々への書面の作成において、
英語と対峙しなければならないケースがしばしば出て参りました。

しかも、これら二世・三世の中には、日本語を全く理解できない人も多く、
また日本の法律制度とその国の法律制度の違いから、
送付した書類を理解していただけないこともしばしばあります。

従来、日本の相続制度は家督相続が中心であった訳ですが、
戦後の法改正によって均分相続にとって代わり、
これについての理解がないことと、
そもそも自分が相続人の一人であるという認識のない人に、
相続に関する書面を送付しても、そのことを理解してもらえないこともしばしばあります。

また日本の不動産登記法で求められている書面を送付し、
現地の公証人に認証してもらう必要があるわけですが、
その時点でこちらの求めている書面と内容が変わるなど、
究極の目的である登記に使えないということもありました。

当事務所では、外部スタッフに英語に堪能な者を用意し、
これらの事態に対応するために当事務所において
英語による書面を作成して直接送付するシステムを推進いたしております。

今後この様なケースにおいては、で
きるだけご依頼いただく皆さまのニーズに応えるよう努力して参る所存でございますので、
なお一層のお引き立てをお願い申しあげます。