平成12年10月号(第38号)

 

登記情報提供システム

        副所長  辻   博 史

 
 「登記情報提供システム」という耳慣れない言葉が、先日の新聞に掲載されました。

そもそも「登記情報」とは何か、というところから話を始めないといけないのですが、

端的に言えば、「登記簿に記載されている内容」ということになります。

 全国の登記所における登記事務が、従来の紙の登記簿から

コンピュータに移行されつつあることに鑑みて、

コンピュータ端末からそれらの情報を入手できるようにと始まったのが、この「登記情報提供システム」です。

これまでは、管轄の登記所に出向き、土地ならば所在・地番を、建物なら所在と家屋番号を特定して申請して、

はじめて登記簿を閲覧したり、登記簿謄本を取得したりしていたわけですが、

このシステムの稼働によって、全国どこの登記所の登記内容の情報も手に入れることができることとなります。

 もちろん、登記事務がコンピュータ化されていない登記所はこのシステムを利用できないのは当然ですが、

近畿圏内では現在のところ大阪法務局管内の三出張所だけでしか提供されていないので、

当事務所では接続に必要な所定の手続きを進めておりません。

ただ一部画面上での障害(一画面の中に必要なすべての情報が表示されず、

したがってすべての情報がプリントアウトされないなど)があって、

もう少し修正等がなされる必要があるように聞いております。

しかし、滋賀県内ですでにコンピュータ化されている大津地方法務局登記部門、草津出張所、

そして来年にはコンピュータ化される八日市出張所などが、

順次この「登記情報提供システム」の稼働庁となれば、利用する方向で前向きに検討をしております。


 ただし、この「登記情報提供システム」の利用については、事前の登録が必要であるとともに、

自ら登記所に足を運んで閲覧、あるいは登記簿謄本を取得する以上の経費

(登記簿閲覧は1筆500円)(登記簿謄本は1筆1000円)の登記印紙が必要ですが、

このシステムを利用すると980円の実費とともに

通信経費がかかるとともに、証明書が発行されないので、

現在の閲覧と同様のことでしかないという点での問題をはらんだままスタートしました。

しかし、IT革命時代がようやく登記所にも訪れたと言えるでしょう。