平成13年4月号(第40号)

 

規制改革委員会と資格士業

        所 長  辻   英 彦

 
 規制改革に関する委員会報告が平成12年12月12日に発表され、注目を浴びておりますが、

この中で事務系十士業についても論究されております。

つまり、弁護士・司法書士・土地家屋調査士・行政書士・不動産鑑定士・弁理士・社会保険労務士・公証人・税理士・公認会計士が、

その10業種であります。

これらの中で特異なのは、公証人であり、半公務員的な業種であるので、特別の注文を受けているわけではありませんが、

とりわけ、不動産鑑定士を除く業種については、

業務を行うにあたっては法律に定められた会(または協会)に入会しなければならない(強制入会制度)ように定められており、

このことが特に批判を浴びております。

 しかし、法律が求めているところは、それぞれの業界において、会員の資質の向上のための研修を行っており、

そのことによってその資格を有する者としての最低限の知識を有することを求めているものであります。

法律上に規定されていることをすら改めて、すべてを自由化の名のもとに改めようとする姿勢には疑問を感ずるところであります。

つまり誰もができる仕事である部分もあるにはあるでしょうし、

少し勉強をした人なら、自ら手続きをすることも可能であるといえるでしょう。

しかし、そのことによって波及する自らへの影響、周囲の者への影響などを考えたときに、

果たして人々の権利意識の高まっている現代社会において、

このことが通用するものなのでしょうか。

 そのことの裏に隠れた事実を探り、その手続きが招来する結果を予測することが可能なのは、

資格を認定された者であり、またその資格者のネットワークによって得られる様々な知識であると考えます。


 この委員会の報告の中に、

司法書士や土地家屋調査士の法人化が盛られております

(というより、法人化を含めた様々な条件を呑むのであれば、現在の強制入会制度を認めよう、という姿勢です)。

私どもの事務所では複数の資格者を置くことによって、

これを先取りする形で多様化するニーズに対応していきたいと考えております。


 次回は、土地家屋調査士業務について若干の持論を副所長から発表させたいと考えております。