公   図
 
 
土地の隣接関係などを明らかにする図面として、「公図」があります。
本来は不動産登記法第17条図面を登記所に備え付けることとされていますが、
この作業には多大な費用と時間を要するために、特に滋賀県では非常に少ないのが実情です。
それまでの間、かつて税務署が地租を徴するために作成した明治初期の土地台帳付属地図をもって代用しています。これを一般に「公図」と呼んでいます。
 
「公図」は、明治初期に作成されたものを昭和後期にポリエステル・フィルムに書き換えたものがほとんどですが、一時期(地積測量図が提出されるようになってからのごく僅かな期間ですが)公図への手入れがなされずにきたこともあり、(一度手を入れないでしまうと、その部分については次の手入れをすることができないため)土地の分筆・合筆の経過が性格に反映していないこともあります。
 
また一方では、明治初期に作成された際に、誤って線引きがされたこともあり、現実の形状・隣接関係を表現していないこともあります。
 
このような場合には、利害関係人の承諾を得た上で、公図訂正をしなければならないこともあります。
 
一般に、戦災を蒙った地域では戦後復興の際に新しく地図が作製されたり、区画整理などが行われたため、このような混乱がありませんが、比較的戦火に遭わなかった近畿地方には公図が混乱していることも稀ではありません。また、滋賀県に多くある天井川(別名「暴れ川」)の洪水によって、その復旧にあたり土地の形状を旧に復さずに任意に持ち替えたりしたなどした原因によって、公図と現況とが一致しないこともあります。
 
どのような原因は公図訂正が許され、どのような場合には許されないのか、の判断には難しいものがありますが、分筆登記や地積更正登記の前提として地図訂正をしなければならないことも考えられます。