境界問題について立会の事実を残すために

隣接土地所有者の皆様へ

 本日は、お忙しい中、お立ち会いをいただき、誠に有り難うございました。

 さて、本日お立ち会いいただき、境界が確定いたしました境界点につきましては、近日中に確定測量を行い、次のような書類を作成することとなります。

@ 官民境界確定協議書

A 筆界確認書

 これらの書類には、いずれも図面を添付し、後日、境界について不明な点が発生したときなどに、本日立会をして確認したことを立証する大切なものです。この書類は本日立会をお願いいたしました当事務所へのご依頼者(申請者)だけでなく、あなた様にとりましても重要な証拠書類となるものです。これらの違いを次に表にいたします。

 官民境界確定協議書 

   筆界確認書

作成目的

官有地と申請土地の境界が確定したことを証明するための書面

申請土地と隣接土地との境界が確定したことを証明する書面

押 印 者

自治会長・申請者・官有地に面して隣接する土地の所有者必要に応じて、水利関係者や里道・水路の対面側の土地所有者等

申請者と隣接 土地の所有者

 

 

押印する印鑑の種類

自治会長・水利関係者は公印申請者は実印その他の者は認印で可

双方が実印を押印する

 

添付書面

申請者の印鑑証明書

双方の印鑑証明書

使用目的

分筆登記・地積更正登記都市計画法に基づく開発許可申請等

分筆登記・地積更正登記

保存方法

所轄庁と申請者が保存

双方で1通ずつ所持

利  点

関係者は所轄庁で閲覧することができる

双方が自分の土地の分筆や地積更正の登記に利用することができるとともに、境界を確認したことを証明する意味で作成することができる

注) 「分筆登記」とは、登記簿上1筆(1枚の登記簿となっている土地)を2筆以上に分割する手続きです。この場合には、法務局に提出する地積測量図は分割後の1筆を除いて求積しますが、通常「残地」と呼ばれる求積をしない1筆の土地については、登記簿の地積と現実の地積が相違することがあります。なお、分筆登記には、官民境界確定協議書と立会証明書の添付が義務づけられています。

注) 「地積更正登記」とは、登記簿上の地積と現実の地積を合致させる登記手続きです。登記簿の地積は、そのほとんどが明治時代に測量された結果によって表示されたおり、現在の測量技術とは比較にならない精度で測量されていたり、租税の徴収を抑える為に、地域全体で少な目に申告されたりしていて、合致しないことがほとんどです。この地積更正登記には上述の官民境界確定協議書と筆界確認書の添付が義務づけられています。これは、相隣接する土地の所有者の境界について争いがないことを証明しなければ、登記簿という一般に公開されている帳簿の表示を変更できないことになっています。そうでなければ、真正に作成されたものでない書類によって登記簿の表示が変更されるなど、思わぬ損害を蒙ることも考えられます。

注) 平成11年10月の「不動産表示登記事務取扱基準」の変更に伴い、従来の「立会証明書」の制度は廃止され、すべて「筆界確認書」の様式に変更されました。これは、立会の事実を後日に残し、隣接土地所有者相互の法的利益を考慮して改正されたものです。

 さて、本日確定いたしました境界点についての測量成果につきましては、いずれ法務局に地積測量図という形で永久保存されるものでありますが、その図面には「引照点」といいまして、恒久的地物(コンクリート杭や建物等の角など)からの距離・角度などを記載して、本日確定した境界点を復元できるように定められていますので、ある程度の復元能力はありますが、正確に復元するためには、測量の際の基準点の保存が大変重要になって参ります。下水道工事や道路舗装のやり直しなどで、これらの基準点が亡くなった場合には、正確な復元は困難でありますが、それでも、引照点からの復元でおおよその復元が可能になるようになっております。

 境界についての紛争は、10年・20年経ってから起こるのが通例であります。まして、本日立会をしていただいた方がお亡くなりになったりすると、その時の事実を証明するものは、お互いが所持している書類以外にはないことになります。

 折角お立会いただいた結果を将来に亘って安定したものとするために、ご理解とご協力をお願いいたします。

522-0033 彦根市芹川町1463番地の24

                 辻 司法事務所

                 電 話 0749−22−6037