2006年1月31日
私は昨年9月1日に
社団法人滋賀県公共嘱託登記土地家屋調査士協会の理事長に就任いたしました。
聞き慣れない名前ですが、官公署の登記(その中でも表示に関する登記)を受託するために
土地家屋調査士法の中に規定された公益法人です。
しかし、その公益法人が、現在、公益法人改革の渦中に放り込まれています。
全国に2万6千程度あると言われています財団法人・社団法人がその対象です。
私どもの協会は、純粋に土地家屋調査士のみで組織されており、
巷間伝えられる「天下り」は全く存在しておりません。
もとより、土地家屋調査士という職責は、
公平・正確に表示に関する登記を処理するための資格ですから、
時には、依頼人の意に添わないことも伝えなければならないわけです。
現在、話題になっています建築士の偽装問題は、
本来、法に従って手続を行い、法の抜け道を探して実行したことによるものです。
全国に存在する善良な建築士にとっては甚だ不愉快極まりないことだと思います。
私たちも、同様の職責を担っています。
「天下り」はともすれば情実の温床になっています。
公務員の優秀な知識を活かすための天下りであれば決して非難されるべきものではありませんが、
そうではなく、情実のために天下っている、天下りを受け入れているのであれば
非難されても仕方がないでしょう。
私たちは、そのようなことなく、誠実に業務を行っています。
正すべきはこれらの問題であり、
十把一絡げにして悪くもない組織をも批判しているとしか思えません。
国民本位の政治が望まれてなりません。
2006年7月6日
経済性とは何なのでしょう。
財政の破綻を招いたのは誰なのでしょう。
このごろ考えることは、行政にせよ、組織にせよ、
それを執行する立場の人間は、私心を捨てて事に臨まなければならないということだと思います。
日銀の福井総裁が、村上ファンドへの資金提供をしていたこともそうでしょう。
自分の立場を理解しているのであれぱ、今回のような問題は起きなかったでしょう。
それよりも何よりも、国家財政の危機や地方自治体の財政危機を招いた原因を追及しなければならないのではないでしょうか。
議員の数を減らすことも大切な施策でしょう。しかし、それは遅々として進んでいないように思います。
しかし、そのことよりも、税収を増やすことが大切なのではないでしょうか。
国や地方自治体が行っている「競争入札」の制度もある意味ではおかしいのではないでしょうか。
東京の公営住宅でのエレベータ事件もその顕著な例だと思います。
システムとしての、メーカーからのメンテナンス情報が提供されなかったという問題はありますが、
それよりも、安価な保守業者を指名したことに問題があると思います。
そのことによって、エレベータの取り替えをする必要ができますし、
その賠償をメーカーから取り戻すのに、どれだけの費用と時間が必要になるのでしょう。
そして、これを財政の面で考えた場合、果たして安価だからという理由だけで
保守業者を代えたことに問題はないのでしょうか。
適切な利潤を考えて入札がなされるのでしょう。
しかし、今日のように多くの脱サラ人間などが起業をし、
応札者が増えると、仕事が欲しいばかりに無理な価格設定をして応札する業者が増えないとも限りません。
適切な利潤を得た企業は、それなりの税金を納税する筈です。
それを安価に流れてしまうことで、
入りうるべき税金が少なくなり、更には、税金として収納されないことも考えられます。
もちろん、企業の税に対する考え方のクリーンさをも追求しなければなりませんが、
安値安定の社会にあっては、税収は期待できないものとなるのは当然の結論です。
今いちど、組織の長としてのあるべきスタンスを考える必要があるのではないでしょうか。
2015年4月15日
相続不能事例 1
先日、当事務所に次のような相談があった。
単身の弟が死亡し、姉が身の回りの品を調べたところ、預金のあることが判明した。そこで金融機関に赴き、解約の相談をしたようである。金融機関から被相続人の戸籍等を取得するように言われた筈で、何度も転籍をしていた被相続人の戸籍を揃えて金融機関に赴いたようである。
そこで言われたのが、「弟さんには養子がいる。その人が唯一の相続人であるので、その人を探し出すのが先決だ」と。そうして、当事務所にどうすればよいのかと相談にみえたのである。
さて、持参された戸籍を見るとその養子は中国人である。そこで、なぜ弟さんは中国人を養子に貰ったのかと聞いても、その経過は不明であった。
私としても、その養子が日本人なら、世界に冠たる戸籍制度があるので、探し出すことができるであろうが、外国人ともなるとそうもいかないことを説明して、お引き取りいただいた。
その後で、事務所のスタッフと話していた中で、国際結婚が増加している現代において、農家の跡取りのために外国から妻を迎えることも多いと聞く。しかし、中には子は生まれたが日本の生活に馴染めずに子を連れて母国に帰る母子もあると聞く。
はて、この離婚した男性(
A男)の財産はどうなるのか。子は、母親(A男の元妻)が離婚したとしてもA男の子であることに違いはないわけで、唯一の相続人となると考えられる。再婚して後妻に子ができたとしても、外国に帰った子は後妻とともにA男の共同相続人であることには違いない。
養子を貰わなかったり再婚しなかった場合には、外国に帰った子が唯一の相続人となる。
全国各地で自治体が音頭を取って外国人妻を紹介する「婚活」が行われているようだが、お金だけではなく田畑までもがその子に引き継がれていくことになる。
しかも、日本のように戸籍制度が整っていないであろうから、死亡後にその子を探し出すのは困難を極めそうである。
このようなリスクを踏まえた「婚活」が必要ではないだろうか。